静岡県と言えば、グローバルなものづくり企業が拠点を置く、日本有数の工業地帯です。
その中心、浜松市に拠点を置く株式会社サカエは、近隣のものづくり企業に向け、さまざまな課題解決の方法を提供してきました。その歴史は80年近く、クライアントは実に1,000社以上に及びます。
その商圏を広げるためには? また、既存の顧客により深い課題解決を届けるには?
そうした意志を具現化する同社のBtoBのマーケティングについて、またその成果について聴きました。
株式会社サカエ プロフィール
業種
事業規模
HubSpotについて
- 2020年、コーポレートサイト及びオウンドメディアをローンチ
- Marketing Hub Professional、Sales Hub Professional、CMS Hub Professionalを利用
ウェブサイトURL
実施したマーケティング施策
- 定期的なメルマガ配信
- ウェビナーの集客、参加者管理
- オウンドメディア運用(ウェビナー開催後に記事化することで、検索ニーズにも対応)
- 戦略的にコンテンツ拡充を行えるようキーワードを洗い出し、テーマを選定。
- ABMの考え方に基づきターゲット企業を業種ごとに分けて、メルマガ配信。コンテンツは業種ごとの課題を解決する事例を盛り込み、商談獲得に繋げる。
お話を伺った方
株式会社サカエ CS部
岡 謙太郎さん(左) / 大石 達也さん(右)
当社の支援内容
- コーポレートサイト・オウンドメディアリニューアル
- マーケティング全体ご支援
課題:自社の価値をより広く、深く
── 株式会社サカエでは、HubSpotを使い、2020年11月にコーポレートサイトをリニューアルしました。同時にデジタルマーケティングへの取り組みをさらに進めました。まずその課題観や背景を教えてください。
どの業界もそうだと思いますが、日本のものづくり企業の経営環境は、さまざまな努力が必要な状態です。
そのものづくり企業にさまざまな価値を提供するのが私たちの使命で、かつては、すでにできあがっている企業間のつながりの中で案件を作ることができました。
しかし今は、簡単に言えば「変化の時代」です。当然弊社も、そうした企業のニーズに沿って変化し、価値を提供し続けたい。またその価値をより広く知っていただかなければなりません。その一手が、HubSpotでありインバウンドマーケティングでした。
より具体的に言えば、弊社は静岡県浜松市を中心に活動しています。これをさらに、愛知県などに広げるにはどうしたらよいか? やはりデジタルマーケティングにたどり着きます。これはHubSpot導入以前からの課題観でしたが、2020年のリニューアルでは、この精度をさらに上げています。
解決策:HubSpot+オウンドメディア
── 具体的な解決策を教えてください。
外側から見える大きな部分は、
- コーポレートサイトのHubSpotでの構築
- オウンドメディアの開始、及び運営作業の完全内製化
……となります。
その他、メールマガジンや、フォームの機能を使ってアンケートをとったりもしています。
さらに内側では、もちろん顧客情報の活用を進めています。顧客情報はHubSpot上に集約するようにし、マーケティング側とセールス側でデータを一元管理・共有しています。
単純な例では、オウンドメディアの技術情報を見ていただいたお客様の情報をセールス側に渡し、商談の機会を作る、というようなことですね。他にも、私たちが特に価値を届けたい属性、例えば「過去に取引がない」といった企業を20社挙げ、パーソナライズしたメールをお送りする、ということもしています。
取り組み全体の目標は、デジタルマーケティング経由の新規案件数を、全体の10%とすることに置いています。これは、今の私たちの状況においては、非常にチャレンジングな数値目標です。
株式会社サカエ コーポレートサイト
技術情報・ソリューション情報を集積したオウンドメディア『Engineer Knowledge』
成果:問い合わせ数240%アップ
── どのような成果が出ましたか?
まず、問い合わせ数が挙げられます。HubSpotでの構築以前は、年に10件といったレベルでした。直近の1年では、24件ほどです。つまり240%ということになりますね。
直近1年間の問い合わせ数の推移。HubSpot導入前は年間で10件程度だった。
そのうちの85%程度が、まったくの新規のお客様です。さらに言えば、その内容も、非常に具体的で、すぐにでも商談につながるような性質のものが多く含まれています。私たちとしては大型と呼べる、数千万円規模のものもありました。
── 非常に大きな成果だと思います。その土台はオウンドメディアでしょうか。
はい、その通りです。オウンドメディア『Engineer Knowledge』は、順調に成長しています。セッション数は決して多くはありませんが、かなり専門的なBtoB、しかも技術情報ということで、そもそも多くの人が必要としている情報ではありません。結果として有効なお問い合わせを得ていますので、これも良い成果だと捉えています。
オウンドメディアのセッション数。オーガニック検索経由のセッションが順調に成長
さらに、先ほどお話しした顧客データを一元管理し、パーソナライズをはじめとした適切なコミュニケーションをすることで、メールの開封率も140%ほどになっています。
中身のある問い合わせの増加、充実した内部フロー
── ビジネスそのものにはどんなインパクトが現れているでしょうか?
ひとつは、やはり「中身のあるお問い合わせ」をウェブサイト経由でいただき、実際に商談の機会を得ている、という点です。これまでにお取引のない企業からの問い合わせも多いですし、既存顧客でも、オウンドメディアを見て私たちのソリューションを知り、そしてお問い合わせいただく、ということが増えています。全体の目標の「10%」には届いていませんが、着実にその準備が進んでいる、と捉えています。
また、顧客データの扱いに関しても、大きなメリットを感じています。以前は、社内で使っている「情報ツール」の類が多く、一元化できていませんでした。見積などを含めた、顧客情報全般のお話です。しかし、HubSpotにしたことで、これがずいぶんスマートになって、ひとりひとりが楽になりました。例えば、レポートの機能を使って、弊社のセールス側とスムーズに情報共有して、各エリアの動向や予測などを見ながら、作戦を立てられるようになっています。
ABM的な動きもできています。特定のターゲット企業を設定し、既存のリードデータと照合し、そのお客様に真に有益な情報、最新情報をお伝えするニュースレターをお送りする、というようなことです。HubSpotにある顧客情報あっての成果ですね。
その他、HubSpotにすることでオウンドメディアの更新やメール制作を社内でできるようになったり、当然、情報発信をしていることでお客様に弊社の価値を知ってもらえる、といったメリットもあります。
付け加えるなら、コストも大幅に下がっています。HubSpotの導入以前も、SFAとかCRMと呼ばれるものを使っていました。それと比べると、半分以下です。
今後の展望
── 今後の取り組みを教えてください。
全体として、具体的な成果も目標に近づいているし、また日々の行動もスムーズになってきている、ということだと思います。まずはこれを地道に続けていくのが第一です。100さんにもいろいろアドバイスをもらいながら、精度を上げて、案件数の10%という目標に迫りたい、迫れると思っています。
※記事中の部署名、役職名等は取材時のものです。