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今回は、全国47都道府県に個別指導塾「明光義塾」を展開している、株式会社明光ネットワークジャパンDX戦略本部マーケティング部の小野さんにお話をお伺いします。社内の業務変革を担う小野さんに、新たな組織を立ち上げるためのコツやHubSpotを活用したカスタマーサクセスの取り組みについて株式会社100代表の田村がお伺いします。
始めに、小野さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
新卒でNTTPCコミュニケーションズに入社しました。「人と関わるのが好き」という単純な理由で営業職を選んだのですが、ジョブローテーションが盛んな時期だったため、入社から4、5年くらいはセールスエンジニアを担当し、その後は法人営業を3年ほど経験しました。そこから営業企画部に異動し、インサイドセールスやデジタルマーケティングの立ち上げを担当させて頂きました。その時の上司が転職後に声をかけてくださり、2021年7月に明光ネットワークジャパンに入社しました。
そこからどのような業務の担当を経て、現在のポジションにいらっしゃるのでしょうか。
始めは、DX推進担当として社内コンサルタントの様な立ち位置で様々な課題のテコ入れを行っておりました。主にETLによるデータ連携基盤の構築などを行いながら、コンタクトセンターで扱うCRM周りを整備しました。現在は、学習塾業界においてカスタマーサクセスという概念があまり浸透していなかったことから、その体制構築と理想的な教室対応に向けた顧客インサイトの提供等を行っております。
これまで組織の立ち上げを数多く経験されてきたと思います。新たに組織を立ち上げるコツがあれば教えてください。
当たり前の回答で恐縮ですが、まずは現状を正しく把握することです。業務を担当されている方は意外と自身の担当する業務オペレーションを可視化できていません。その為、PowerPointを使って「As is(現在の状況)は、こうですよね。To be(あるべき形)はこうだと思うのですがどうですか。」と資料化した上で合意形成を図っています。その際に、素人の目線を持つことを意識しています。「この業務はこうやらなければいけない」という思い込みを排除し、「そもそもどの様な目的でやってるんですか?」と何も分かっていない人の立場でGOAL確認/設定を行った上で、業務を一つひとつの要素に分解します。そこから、本当に必要な要素を積み上げることで、最小限のオペレーションに組み替えていきます。そこまでできたら、ようやく組織化ですね。最小限のオペレーションに対応可能な最小限の組織を構築していきます。
オペレーションを再構築し、それに合わせた組織づくりをしていく中で、既存業務を担当されている方から抵抗を受けることがあるのではないかと想像します。どのように乗り越えていらっしゃるのでしょうか。
まずは、どんなに小さな事でも良いので部内で抱えている課題の解決に協力する事にしています。いきなり改善が必要な部署に入り込んだとしても、私のことを知らない人がほとんどですし、当然信頼もありません。そこに対して「お役に立てれば幸いです」というスタンスで、「HubSpotを使うと、こんなことができますよ」「業務管理ができるこのアプリを使ってみませんか?」と提案したりして、困りごとを解決します。なにか細かいことでも改善してみせると「一度話を聞いてやるか」と聞く耳を持ってもらえるようになるんです。もちろん、部署内の人が私のことを信頼してくれたとしても、オペレーションやシステムの改善に関係しているのはその部署だけではないこともあります。その為、必ずしも部署内の信頼を得るだけですべてが解決するわけではありませんが、重要な取り組みの一つだと考えています。
システム導入に関する考え方を少しお伺いさせてください。業務を改善する際にシステムの導入を検討されると思うのですが、システムとオペレーションのどちらを先に決めるなどありますか。
私はシステムとオペレーションを並行して考えることが多いです。システムで何ができるか全て把握しきれているわけではないので、オペレーションを固める前段階から有識者(サービスベンダー等)の方に「こういうことはできませんか?」「こんな困りごとがあるんですけど良い使い方はありませんか?」とご相談させていただく事が多いです。オペレーションを最重要視しながら並行してシステムの機能を検討していくことで、それらを別々に検討するよりも最適な業務改善ができると考えています。
先ほど、小野さんは明光義塾のカスタマーサクセスの立ち上げに関わっているとお話いただきました。入塾前のカスタマーサクセスについて、テコ入れする前と後ではどのような変化がありましたか?
これは私が直接関わっていない部分も大いにあるのですが、デジタルマーケティングの体制が大きく整いました。特にデジタル広告において面白い発見がありました。BtoBマーケティングの考え方では、自社が取りたい(奪われたくない)指名キーワードの検索結果に広告を表示し、ニーズが顕在しているお客様を獲得します。ところが、塾業界では非常に強い集客力を持つ塾の比較サイトが、うちとは比べものにならないぐらい指名キーワードの広告を打っていたんです。指名層のお客様は塾の比較サイトから来てくれるため、あえて弊社はそこで戦わず、潜在層に力を入れることにしました。
ユーザーの行動を分析し、最適なマーケティングプロモーションを考えられたのですね。小野さんはこれまでBtoB領域でHubSpotを活用されてきたと思うのですが、塾業界で扱うことになって新たな試みだと感じたことはありましたか?
面白かったのは、お問い合わせフォームにおけるデータ収集の仕組みです。これまでの経験からホームページにあるお問い合わせフォームをHubSpotが提供するフォームに置き換えれば良いと思ったのですが、簡単にはいかなくて。なぜなら、全国のFCオーナー様もお問い合わせ内容を確認・対応ができる様にするためのチケット管理システムが存在しており、その専用フォームをリプレイスする事が出来なかったんです。塾業界というよりはFCビジネスゆえの悩みかも知れませんね。そこで、HubSpotの技術者にご相談し、HubSpot側にダミーフォームを作成した上で、フォームAPIを活用してお問い合わせフォームから受信したデータをHubSpot CRMに蓄積する仕組みを構築しました。その結果、今まで通りFCオーナー様は自分の教室に来たお問い合わせに対応してもらうと同時に、お問い合わせ内容をCRMへ貯める事が可能になりました。
カスタマーサクセスチームが掲げている、現在の施策を教えてください。
今期はファクトデータを元に、現場が動けるようなインサイトやアクションプランなどの分析結果を出すことを戦略に掲げています。カスタマーサクセスチームがお客様のロイヤルティ向上に努めるといっても、実際に対応するのはFCオーナー様です。あくまでも本部は、何らかの根拠を元に目指すべき姿やアクションの徹底を啓蒙することしかできません。これまでもお客様に満足してもらえる教室づくりに向けた具体的なアクションを伝えて来た様ですが、FCオーナー様にご理解いただけないことも多かったと聞いています。しかし、現時点の感触として、データで説明すれば納得してくださる方も多い為、お客様の声を定量・定性で分析し、具体的なアクションプランを提案することが最も重要なのではないかと考えています。他にも、カスタマーケア体制の構築を行う事となりました。これはNPSの回答結果などをトリガーとして、休会になりそうな生徒さま・CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)が下がっている保護者さまを現場に通知してしっかりとケアして頂くことで、休会防止やCS向上に繋げることが狙いとなっています。
お客様にアンケートを取られていますが、いつ頃から始められたのでしょうか。
もともとCSを測る目的でアンケートは取っていた様なのですが、2022年からはNPS( Net Promoter Score:顧客ロイヤルティを知る指標 )調査を導入しました。FCチェーンの繁栄にはFCオーナー様の成長が不可欠ですので、「あなたの教室では、この様な理由でNPSが低いです。ここを改善すれば業績が伸びます。」とアドバイスできるようなデータが得られるのではないかという期待もありました。しかし、実際にNPS調査をしてみると、教室ごとの業績とNPSに相関関係がないことがわかりました。そこで、教室ごとの業績を一切考慮せず、NPSで高い評価をつけていたお客様と顧客単価の相関を分析していくと、強い相関が見られました。他にも、通塾期間ともやや強い相関関係が見られるという結果が見えてきました。それらの分析結果も踏まえて、やはり最もスタンダードな顧客ロイヤルティ指標としての活用や、ブランドエクイティ指標としてNPSを活用すべきなのではないかと考えています。
小野さんは前職からHubSpotを使われていますが、継続してツールを使っていただける理由を教えていただけますか?
前職の時から、複業として細々とマーケティングオートメーションツールの導入や運用のサポートをしていたのですが、いくつかのツールを触ってきた中で圧倒的にHubSpotがユーザーフレンドリーなんですよね(笑)。UIがとてもわかりやすいと感じています。私が明光ネットワークジャパンに入社するタイミングでちょうどHubSpotが導入されることになったので、非常にラッキーでしたね。
気に入って使ってくださるのは、とても嬉しいですね。今後はどのような使い方を検討されているのでしょうか?
今後は、各種調査におけるアンケート取得やカスタマーケア体制におけるチケット管理システムとしてService Hubを使っていきたいですね。あとは、アンケートメール機能やトランザクションメールオプションを活用して、入塾後のお客様に向けたイベントや各種手続きのご案内をしたいと考えています。他にも「明光義塾に楽しく通えていますか?」「学力向上効果に対する満足度はいかがですか?」等の顧客満足度を定点観測できるようなメール施策も検討しています。HubSpotに固執しているというわけではなく、あらゆる検討をした結果、HubSpotで巻き取った方がうまくいくことが多かったです。
すべてのデータがHubSpotに集まることに対して、メリットを感じられていらっしゃいますか?
非常にメリットを感じていますね。実は、HubSpotとは別に既存のチケット管理システムも活用していたのですが、過去のお問い合わせやクレームをくださったお客様の顧客データと紐づいていなくて、アクティビティログとして機能していませんでした。HubSpotであれば、CRMとのデータ連携を意識するまでもなく自動的に過去のチケットと紐づきますし、あらゆるデータを紐づけて管理できるので、非常に有効活用しやすいと感じています。サービスさえ追加してしまえば、自動的にデータが貯まる仕組みはすごく助かりますね。
最後に、小野さん自身が今後どうなっていきたいか教えていただけますか。
非常に意識が低くて恥ずかしい話なのですが、何を成し遂げるかよりも誰とどんな環境で仕事をするかといった事の方が、現時点の私にとっては重要な価値観となっています。
仕事で関わる人や使うツールなど、好きと思えるものに囲まれて仕事をしたいですね。その我儘を叶える為にも一緒に働きたいと思って頂けるような人に成長していきたいですし、「一緒に働きたい!」と思える人の元へ自由に行ける実力をつけていきたいと思っています。
※記事中の部署名、役職名等は掲載当時のものです。
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ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、 顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。 そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、エキスパートとして取り組んでいます。 HubSpotのこと、マーケティング設計・運用、組織の構築など、どんなことでもお問い合わせください。
始めに、小野さんのこれまでのキャリアについて教えてください。